インフルエンザの脳症の予防はどうすればいいの?
インフルエンザ脳症ってどんな疾患かご存知ですか?
これは幼児(1歳~5歳)がインフルエンザにかかってしまった時に起きる症状で、けいれんや意識障害、神経障害、さらには血管が詰まったり、様々な臓器が働かなくなることもあり、命に関わる疾患です。
インフルエンザ脳症がどんな疾患なのか、分かったところで予防の必要性を感じます。
そのためには、知識が必要です。
今回は我が子を守るために、インフルエンザ脳症について勉強しましょう。
目次
インフルエンザの脳症の原因は?
では、インフルエンザの脳症の原因は何でしょう?
そもそもインフルエンザに感染する理由は、なんとなくご存知ですか?
インフルエンザ大流行の寒い冬。乾燥の時期。
インフルエンザウイルスの最適の時期です。
さらにインフルエンザウイルスは住み心地のいい棲みかを探し、「おじゃましま~す」と体内の侵入を試みます。
インフルエンザウイルスの感染経路、それは感染した人のくしゃみ、そして咳から拡大していきますが、ここでも重なる流行原因は寒い冬。
人はウイルスの侵入を防ぐため、粘膜がしっかり防御しますが寒い時期にはこの防御活動も鈍り、「あら、ここも侵入成功」という具合に感染を広げているのです。
インフルエンザの流行時期、親はとても敏感になると思います。
ちいなさ子供にはそれは辛い症状です。
このインフルエンザに感染してしまった、それだけでも親の心は痛みますが、そこにさらに「脳症」というおそろしい病気が隠れていると知ると、1日、1日不安でいっぱいになりますよね?
では、インフルエンザウイルスに苦しめられているお子さんをさらに脅かす、「脳症」の原因はなんでしょう?
とはいっても、すみません。実ははっきりと原因が解明されていないのが事実。
そこで考えられる原因になりますが、まとめます。
「インフルエンザウイルスが脳内に侵入」
これが原因の一つでは?と言われていますが、インフルエンザウイルスの体内での活動は想像以上にひどいものです。
そのインフルエンザウイルスを体外へ排除しようと働きかける物質もいるのですが、この物質を「サイトカイン」といい、多くの種類があり、相互に連携を取り合って働いています。
この連携プレーを「サイトカインネットワーク」と言いみたいです。
ここで問題なのは、この「サイトカインネットワーク」に障害を起こしてしまうのがインフルエンザウイルス。
障害が起きてしまう、過剰な免疫反応が起き、「高サイトカイン血症」という状態になり、脳内が「高サイトカイン脳症」という状態になると、脳症を起こしてしまう、という考えがあります。
インフルエンザの脳症の症状について
「高サイトカイン血症」になり、脳症を起こすと免疫が正常に機能しなくなり、けいれん、意識障害、異常行動などが見られるようになります。
そして多くの細胞に障害を広げ、全身状態が悪化。
呼吸が止まり、血管が詰まり、多くの臓器の障害へ進みます。
このような障害が起きると、命に関わる重症になってしまいます。
このような行動、言動、症状に注意しましょう。
① 両親がわからない、いない人がいると言う(人を正しく認識できない)。
② 自分の手を噛むなど、食べ物と食べ物でないものとを区別できない。
③ アニメのキャラクター・象・ライオンなどが見える、など幻視・幻覚的訴えをする。
④ 意味不明な言葉を発する、ろれつがまわらない。
⑤ おびえ、恐怖、恐怖感の訴え・表情
⑥ 急に怒りだす、泣き出す、大声で歌いだす。
痙攣(けいれん)
インフルエンザ脳症のほとんどのケースで、体を硬直させてガクガク震える痙攣が現れます。高熱をきっかけに現れる熱性痙攣と症状が似ていますが、「症状が15分以上続く」「短時間で何度も繰り返す」「左右非対称の痙攣が現れる」などの場合は、熱性痙攣ではない可能性が高いので、インフルエンザ脳症を疑いましょう。
意識障害
高熱とともに意識が混濁していきます。寝ているのか起きているのかがわからず、ぐったりした状態になります。呼びかけても反応がない、痛みや刺激を与えても反応がないという場合は、インフルエンザ脳症の意識障害の可能性があります。
異常な言動
ママやパパがそばにいるのがわからない、誰もいない・何もいないものが見えると言う、意味がわからないことを言う、泣いたり・起こったりの感情の起伏が極度に激しいなど、様々な言動が現れます。高熱の症状で幻覚を見るケースもありますが、インフルエンザ脳症の場合は意識障害が長い時間続くという特徴があります。
こうした症状が進んで重症化すると、その後呼吸停止や血管の詰まり、臓器障害など、命にかかわる症状が現れはじめます。
インフルエンザの脳症の予防はどうすればいいの?
脳症の原因を調べると、感じることがあると思います。
インフルエンザ発症から、体内に起こりうるウイルスの働きを防ぐことは出来るの?と。
正直、難しいと思います。
最近まで、ワクチン接種で脳症予防が出来ると言われていました。
しかしワクチン接種をしていても脳症にかかる場合はあるといことが分かりました。
それでも、今回の脳症を避けるためには、まずインフルエンザ予防をすることしかない!と思いませんか?
予防に欠かせない「ワクチン接種」は大事です。
そして、毎日の生活を見直すことで、インフルエンザ感染は予防出来ると思います。
インフルエンザ予防出来ることが脳症の心配は、まずなくなります。
インフルエンザの脳症のまとめ
脳症を発症させないためには、インフルエンザにかからないことです。
- 予防接種
- 帰宅後の手洗い・うがい
- 外出時のマスク着用
- しっかり睡眠
- 栄養をしっかり摂る
体を健康にしてあげることで、インフルエンザウイルスの侵入しにくい体作りと体内環境をつくってあげましょう。
参考文献
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