ガングリオンのつぶし方!治療にかかる費用は?
ある日、何気なく手首や足首に瘤(こぶ)のような腫れがあって驚いた、なんてことはないでしょうか。
指で触れると、硬いようなそうでもないような弾力があり、しいて言うなら軟骨のようなものがポコッとその存在を主張するかのように飛び出しています。
見た目も悪いし、何より見知らぬ瘤や腫れが体にあるというのは、「もしかして何か悪い病気なのかも・・」と、不安になってしまいますが、この瘤の正体は〝ガングリオン〟と呼ばれるものです。
そんな名前まるで聞いたことがない、と思うかも知れませんが、比較的若い女性に発症が多いことから、聞いてみるともしかしたら案外「私もその瘤、できたことある!」という方が周囲にいらっしゃるかも知れません。
そこで今回は、以外と身近な病気であるガングリオンについて調べてみました。
ガングリオンの発症原因や症状は勿論のこと、治療方法や治療に掛かる費用、ガングリオンができないための予防方法なども併せてご覧頂けたらと思います。
目次
ガングリオンとは?
ガングリオンとは、関節や腱鞘にできる腫瘤のことを言います。
腫瘤とよく似た言葉に腫瘍があり、腫瘍と聞くとガンを思い浮かべる方も多いと思いますが、腫瘍とはそもそも〝できもの〟のことを指し、良性と悪性に分かれています。
ガンは悪性腫瘍のことを言うため、腫瘍だからといって必ずしもガンとは限りません。
ガングリオンの場合は非腫瘍性の腫瘤であることから、基本的にはガンを疑うものではない、と言えます。
また、見た目にはっきりとわかる程度の大きさまで成長すると、「軟骨が飛び出してきた」と思う方も多いようですが、ガングリオンは軟骨ではなく、関節や腱などを柔軟に動かすための滑液が、関節包と呼ばれる袋状のところに溜まってできたものです。
触るとコリコリするために軟骨だと勘違いをするようですが、実際にはゼリーのような粘着性のある液体が内容物となっています。
つまり、ガングリオン自体は元々体にある滑液が正体ですから、特別に何か悪さをするというわけではありません。
ガングリオンの原因
ガングリオンは、20~50代に多く発症し、男女比では女性の方が男性の3倍多く発症すると言われています。
しかし実は、ガングリオンができるメカニズムは少しずつわかってきているものの、明確な発症原因についてはまだ解明されていません。
とは言え、下記のようなことが原因となっているのでは?と現段階では考えられています。
①関節の使い過ぎによるもの
②滑液を作る細胞に何らかの異常が生じそれが袋状に溜まって起こるもの
③強い衝撃による損傷
④遺伝的な原因
⑤ストレスによる血行不良
ガングリオンが女性の発症が多い原因として、⑤の血行不良が大きいではないかと見られています。
女性の場合、男性と比べて筋肉量が少ないため、心臓から送られた血液が全身を巡る上でどうしても体の末端に血液が行き届きにくくなり、それが血行不良を引き起こします。
血行不良になると、老廃物やリンパ液などの排出が悪くなってしまうため、同様に滑液も体内に留まりやすくなりガングリオンができやすくなってしまうのではないかと言われています。
ガングリオンの症状!痛みはあるの?
ガングリオンは無症状の場合が多く、殆どの方がある程度の大きさになって始めて気付いた、という場合が多いようです。
また、触っても痛くはなく、皮膚がただれたり赤く腫れているということもありません。
ただし、ガングリオンが神経のすぐ近くにできた場合や、成長して大きくなって神経を圧迫するようになると、痛みやしびれ、運動麻痺と言った症状が生じることがあります。
なお、ガングリオンの大きさは個人差があり、米粒大程度の小さいものから、人によってはピンポン玉大ほど(10㎝程度)の大きさにまで成長してしまうこともあります。
ガングリオンが大きいからといって、必ず痛みやしびれといった症状を引き起こすわけではありませんが、そこまで大きくなってしまうと、今度は見た目の問題が発生し、特に痛みがなくても手術などでガングリオンを除去する方が多いようです。
ガングリオンができやすい場所
ガングリオンは関節や腱鞘にできる腫瘍のため、そのような部位であればどこでも発症するとされていますが、体の中でも特にできやすい場所というのが存在します。
そこでここでは、ガングリオンができやすい場所をご紹介したいと思います。
手首
体の中で、最もガングリオンができやすいと言われているのが手首です。
ガングリオンの発症原因はまだよくわかっていませんが、手首は日常生活で頻繁に動かす部位のため、ガングリオンができやすいと考えられています。
手のひら
ガングリオンができて厄介な場所と言われるのが、手の平です。
手の平には神経が多く通っているため、ガングリオンができると神経に触れて痛みが生じることが多く、また、ペンや箸などを握った時に瘤があたって上手く使えないという不便が起きてしまいます。
足
ガングリオンは足にもできますが、特に多いのが足首周辺の関節や足の甲です。
ガングリオン自体に痛みなどがなくても、大きくなってしまうと靴が履けないなど生活に支障が出てくる部位です。
膝
体の中でも大きい関節の一つである膝にガングリオンができると、運動時に神経に接触して強い痛みを引き起こすことがあります。
プロゴルファーの丸山茂樹さんは、膝の裏にガングリオンができてしまい、それがプレーの支障となってしまったことがあるそうです。
首
手首や足に比べて発症頻度は少ないものの、できてしまうと目立ってしまうのが首のガングリオンです。
首の中でも、特に付け根部分にできやすいと言われています。
ガングリオンのつぶし方!自分でつぶしても大丈夫?
ガングリオンは、痛みやしびれといった症状がなければ、そのまま放っておいて構わないものです。
病院でも、治療の必要がないと判断されれば経過観察でするのが一般的です。
多くの場合は、だんだんと体内に吸収され、消滅してしまうと言われています。
そのため、痛みなどがない時は必要以上に気にする必要はありません。
しかし、目立つ場所にできてしまったり、ガングリオンがあることがストレスになってしまう方もいらっしゃるでしょう。
そのような時、「病院で治療はしたくないけれど、自分でどうにかできないものか・・」と考える方も多いはずです。
どうしても自力で取り除きたい場合は、押しつぶすという方法もあります。
実際に、ガングリオンができた部分をドアなどにぶつけた拍子にガングリオンが潰れてしまった、という方もいらっしゃいますし、毎日触っているうちに無くなったという例もあります。
ただし、ガングリオンのできた場所によっては、強い衝撃を与えることで神経を傷付けてしまい、思わぬ事故に繋がる可能性もあります。
そのため、自己判断で行うよりも、病院に行って治療を受けた方が安心に確実に治すことができます。
ガングリオンが気になる場合、病院は何科に行けばいいの?
ガングリオンの大きさには個人差はあり、米粒大から大きい方ではピンポン玉大程度にまで成長してしまうこともあるようです。
ここまで大きくなってしまうと、人の視線が気になってしまって症状の有無に関わらず治療や手術を選択する方が多いようですが、ガングリオンが気になって病院へ行く場合、何科を受診するのがよいのでしょうか。
この場合、整形外科か皮膚科で診てもらうのがよいでしょう。
ガングリオンの治療法
ガングリオンの治療には、次の3つがあります。
①穿刺治療
ガングリオンの治療の中で、最もポピュラーなものです。
注射器を患部に刺し、滑液などガングリオンの内容物を吸い取ってしまう方法です。
ただし、長期にガングリオンを放置してしまって内容物が硬くなっている時にはこの方法は使えない場合があります。
また、内容物を吸い取るだけなので、同じ場所に滑液が溜まって再発してしまうことがあります。
②圧迫法
ガングリオンを皮膚の上から押して潰してしまう方法です。
③手術
麻酔をして患部をメスで切開し、ガングリオンを形成している袋と内容物を取り出してしまう方法です。
完全に取り除いてしまうため、穿刺治療よりも再発率は下がりますが、縫合の痕が残ってしまうこととからガングリオンのできた場所によっては、手術後に傷跡が目立ってしまうことがあります。
④レーザー治療
レーザーを照射してガングリオンを小さくしていく治療法です。
穿刺治療や手術よりも再発率が低いと言われていますが、3~4回のレーザー照射が必要となるため1~2ヶ月ほど通院が必要になります。
ガングリオンの手術について
穿刺治療を行っても、再発を何度も繰り返してしまう場合は、手術を勧められるケースもあります。
しかし、手術と言うと不安になってしまう方も多いですよね。
では、ガングリオンの手術とは、一体どのような流れで行われるのでしょうか。
ガングリオンのできた部位や大きさにもよりますが、多くは部分麻酔によって手術が行われます。
手術時間も、数10分~2時間程度とあっという間に終わることから、日帰りも可能です。
ただし、ガングリオンが骨と近い場所にあったり、奥深いところにできている場合は、全身麻酔で手術が行われ、時間も長く掛かります。
また、手術後は数日入院し、神経に支障がないかどうかなどを確かめる必要もあります。
ガングリオンの手術の費用は?
ガングリオンの摘出手術を受ける場合、費用はどれくらい掛かるのでしょうか。
ガングリオンのできた場所や大きさによって異なりますが、瘤がそれほど大きくなければ(5㎝程度かそれ以下)2~3万円程度で日帰りでの手術も可能ですが、瘤が10㎝程度と大きい場合や、歩行に支障の出る足を手術する時は7~8万円ほどの費用が掛かり、数日(3日程度)の入院というケースが多いようです。
なお、ガングリオンの手術は生命保険会社によっては、給付の対象とならない場合もあるようですので、手術をする際には生命保険会社にあらかじめ確認しておくのも大切です。
ガングリオンの手術後の再発率は?
ガングリオンは、その発症原因がわかっていないこともあり、残念ながら手術をしたからといってそれで100%完治に至る、というわけではありません。
手術後のガングリオン再発率は、10~15%と言われています。
しかし、穿刺治療は再発率が20~60%と高く、一回の治療は2,000円程度とそれほど高いわけではないのですが、場合によっては注射器でガングリオンを吸い出した2週間後にまた再発、ということもあるため、通院を繰り返すことで結果的には手術よりも費用がかさんでしまったというケースもあるようです。
また、穿刺治療は人によって強い痛みを感じることもあり、治療がだんだんと億劫になってしまうこともあるようですので、ガングリオンの治療方法を選択する時は、必ずメリットとデメリットの両方をよく照らし合わせて考えてみることが大切と言えます。
ガングリオンの予防法!
ガングリオンは、その発症原因が詳しくわかっていないため、「これをすれば必ず予防できる」というものはありません。
しかしながら、関節を酷使したりぶつけたりすると発症しやすいと言われているので、手を使う作業をしている時は適度に休憩をとり、手を疲れさせないようにすることが大切でしょう。
また女性の場合は、冷えによる血行不良がガングリオンを誘発する可能性があります。
そのため、血行を促すために運動を行ったり、体を冷やさないように冷たい飲み物をたくさん摂るようなことを控えることは、ガングリオンを予防する一つの方法と考えられます。
ガングリオンの原因や症状と治療法!痛みがある場合の対処法!のまとめ
ガングリオンは、それ自体は非腫瘍性の腫瘤のため、必要以上に不安に思ったり気にしてストレスを抱える必要はありませんが、体にできものができた場合は自己判断せずにまずは病院へ掛かって、それが本当にガングリオンかどうかを調べてもらうようにしましょう。
また、自分で瘤を潰したり、切開して粘液を出すということを行う方がいらっしゃいますが、自己判断でそのようなことを行うと神経を傷付けたり、細菌の感染などの危険があることからお勧めできません。
ガングリオンは、基本的には自然に消滅するのを待ちますが、瘤が大きかったり神経に触って痛みやしびれがある時はすみやかに病院へ行って治療を受けるようにしましょう。