逆流性食道炎の原因と解消法!病院は何科がベスト?
「それにしても何だか胃の調子が悪い気がする・・」「最近、ゲップが多くて困っている・・」などの症状が同時に起こっている時は、単なる老化ではないかも知れません。
最近、よく耳にする言葉に〝逆流性食道炎〟がありますが、もしかしたらあなたの症状はこの病気にあてはまっているのではないでしょうか。
そこで今回は、逆流性食道炎の原因や症状、対処法などについて調べてみました。
そのゲップ、放っておくと大変なことになるかも知れませんよ。
目次
逆流性食道炎とはどんな病気?
口から食べ物を摂ると、食道と通じて胃へ運ばれ、胃酸と消化酵素によって細かく分解されて小腸で吸収されます。
胃には、自らが分泌する胃酸から胃壁などを守る働きがあらかじめ備わっていますが、食道にはありません。
とは言え、食道と胃の間は下部食道括約筋によって閉じられており、食べ物を摂取した時以外は開かないようになっています。
また、腸のぜん動運動と同様に、食道や胃の消化器官全般にもぜん動運動があり、口から入った食べ物は収縮と弛緩の動きによって、どんどんと押し進められるため、通常は胃の内容物が食道へ戻るということはありません。
しかし、何らかの原因で下部食道括約筋やぜん動運動の働きが悪くなると、胃酸が食道へと逆流してしまうことがあり、食道に炎症が起こってしまいます。
これが、逆流性食道炎です。
逆流性食道炎の原因は?
下部食道括約筋や食道のぜん動運動など、普段の生活の中であまり意識することはないものですが、これらの働きが悪くなることが逆流性食道炎を引き起こすと考えられています。
では、それはどのようなことが原因で起こるのでしょうか。
①過食
食べ過ぎによって胃が伸びてしまうことにより、下部食道括約筋が弛み、胃酸が逆流しやすくなると考えられています。
また、一度にたくさんの量を食べると、胃酸が過剰に分泌されるため、食道への逆流も起こりやすくなってしまいます。
②たんぱく質や脂質の多い食事
たんぱく質の多い食べ物は、消化に時間が掛かるためその分胃に長く留まり、胃酸の分泌を促してしまいます。
また、脂質の多い食べ物は、十二指腸から分泌されるホルモンの働きによって、やはり下部食道括約筋を緩めてしまうと言われています。
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③加齢
老化によって体のあらゆる筋力が低下するのと同様に、下部食道括約筋やぜん動運動の働きが落ちてしまうことで、胃酸が食道へと流れ込みやすくなってしまいます。
④姿勢
猫背の方や背中が丸まっているなど姿勢の悪い方は、常に胃が圧迫されている状態になり、胃酸の逆流が起こりやすくなると言われています。
⑤便秘
便秘によって腸が常に張った状態になると、腸の上にある胃を押し上げることになるので、胃の上にある食道に胃酸の逆流が起こりやすくなります。
⑥ストレス
過剰にストレスが掛かると、胃酸の分泌が増え、胃潰瘍などを引き起こすことはよく知られていますが、実は胃酸過多と同時に下部食道括約筋の機能低下が起こり、逆流性胃腸炎を発症することがわかっています。
また、若年層による逆流性食道炎の原因の多くが、このストレスと言われています。
逆流性食道炎の症状
逆流性食道炎になると、逆流した胃酸と唾液が混ざって食道を通るため、胸やけが起こります。
胸のあたりがモヤモヤ、ムカムカする、食べ物や飲み物を摂ると食道が焼きついたようにヒリヒリする、強い痛みを感じるなどが逆流性食道炎の主な症状と言われています。
また、〝呑酸(どんさん)〟と呼ばれる酸っぱいゲップがよく出るようになり、ひどい時は食べたものを戻してしまうこともあります。
さらに、逆流した胃酸を気管が吸ってしまうことによって、喉の痛みや不快感、咳が出る場合もあります。
しかし、喉に痛みがあったり咳が出ても、多くの方は「風邪でも引いたかな?」と思うくらいで、それが胃や食道の疾患が原因であるとはなかなか思わないのではないでしょうか。
そのため、逆流性食道炎だと気付かずに放置されがちです。
最近はコマーシャルなどの影響もあり、逆流性食道炎の症状として「胸やけ」「ゲップ」は認知されつつありますが、「喉の違和感」「咳」も是非覚えておきましょう。
胸痛や胸やけがある場合は逆流性食道炎を疑ったほうがいいのか?
胸が痛む、胸やけがするというだけで、それが必ずしも逆流性食道炎だと決めつけてしまうのには、少し無理があります。
例えば、胸が痛くなる病気には狭心症や心筋梗塞といった心臓の病気が考えられますし、胸やけは食道に限ったことではなく、十二指腸潰瘍や横隔膜ヘルニアといった病気でも起こるからです。
しかし、昔は欧米人に多いと言われていた逆流性食道炎が、日本でも増えてきているという現状はあります。
その理由として、脂質の多い欧米食が主流になっていることや、かつては日本人の多くが持っていたピロリ菌の減少が挙げられます。
ピロリ菌は胃ガンなの発症に関わるものと言われていますが、その一方でピロリ菌のいる胃は胃酸の分泌が少なくなるため、逆流性食道炎にはなりにくくするという面もあったのです。
このようなことから、これまで日本人は欧米人と比べて逆流性食道炎の発症が少ないと考えられていたのです。
なお、かつてはピロリ菌の除去を行うと逆流性食道炎を起こしやすいと言われていましたが、最近の研究によると、仮に起こってもごく軽いものか一時的であるため、逆流性食道炎が怖いからピロリ菌の除去は行わないということは考えなくてもよいようです。
逆流性食道炎のチェックリスト
消化器官の不快症状というのは、日常的によくあることなので、つい放置してしまいがちですが、簡単なセルフチェックで病気の可能性を調べることができます。
ここでは、逆流性食道炎のチェックリストを公開しますので、是非、ご自身の体調と照らし合わせてみて下さい。
1.胸やけがする
2.食事の後、胃がもたれる、苦しいことがある
3.手の平で胸のあたりをこすってしまうことがある
4.ゲップをすると酸っぱい、またはゲップが増えた
5.お腹が張っている
6.食べている途中で満腹になることが増えた
7.喉に違和感(イガイガ、ヒリヒリなど)がある
8.声がかすれたり、高い声が出なくなった
9.食べ物を食べると、喉につかえやすくなった
10.高齢である
11.吐き気に襲われることがある
12.胃の手術をしたことがある
あてはまる数が多いほど、逆流性食道炎の可能性があります。
気になる症状がある場合は放置せず、すみやかに病院へ掛かるようにして下さい。
逆流性食道炎の対処法や解消法
逆流性食道炎が疑われる症状が現れた時、そのつらい症状を少しでも改善・緩和させるための対処法や解消法をご紹介します。
1.食べてすぐ横にならない
体を横にすると、それだけ胃酸が食道に逆流しやすくなるため、食べてすぐに横にならず、ソファーなどに座っておきましょう。
2.食後にガムを噛む
ガムを噛むことで唾液の分泌が促され、胃酸を胃へと戻してくれます。
特に、胃酸の分泌量が多い食後に噛むと効果的です。
3.お腹を絞め付け過ぎない
ベルトなどをきつくしていると、お腹が圧迫されて胃酸が食道へと逆流しやすくなります。
4.便秘を解消する
便秘を患っている方の1割に、逆流性食道炎の症状が見られると言われています。
お通じがない状態が続くと、便によって腸が塞がり、腹圧が高くなって胃酸が食道へと流れやすくなってしまいます。
5.正しい姿勢を心掛ける
背中が丸まっている状態だと、お腹が体の中に入りこんでしまうため、圧迫されて胃酸が食道へと逆流しやすくなってしまいます。
逆流性食道炎の時の食べ物や食事はどうすればいいの?
逆流性食道炎が疑われる場合や、診断を受けた時は、食事の内容に気を配る必要があります。
天ぷらやとんかつといった油を使った料理や、ケーキ・チョコレートなどの脂質や糖質の高いもの、トウガラシなどの香辛料、アルコールやコーヒーなどの刺激物の摂取を避け、できるだけ消化がよい物を食べるように心掛けましょう。
具体的に上げると、ヨーグルトや豆腐、やわらかめに炊いたご飯、うどん、ささみや鶏ひき肉、白身魚、カブ、じゃがいも、バナナなどがよいと言われています。
また、冷たすぎる物や熱すぎるものも食道を刺激するため、避けた方がよいと言われています。
その上で、食事は腹7~8分目に抑えておき、食べ物をしっかりと噛んで唾液の分泌を増やすようにしましょう。
いくら消化によいものを選んで食べても、お腹いっぱい食べてしまうと胃酸が大量に分泌されて食道に逆流しやすくなってしまいます。
逆流性食道炎の場合、病院は何科に行けばいいの?
逆流性食道炎の症状が現れた時、病院は何科へ行くのがよいのでしょうか。
その場合、内科、もしくは消化器科、胃腸科となります。
逆流性食道炎は、昔は40代以降の方が掛かりやすくなるイメージがありましたが、最近は若い年齢の方でも罹患率が増えている病気です。
そのため、「自分はまだ20代だし大丈夫だろう」と思わず、症状がある時には病院できちんと調べてもらうことが大切です。
逆流性食道炎の検査方法
逆流性食道炎の検査方法は、問診・触診、そして内視鏡カメラです。
内視鏡カメラとは、いわゆる胃カメラのことを言います。
胃カメラと言うと、つらく苦しい検査ということでできれば避けたいという方も多いと思いますが、胃カメラが嫌で病院に行かずにいて症状が進行してしまった、なんてことになったら大変です。
最近は、検査前に静脈麻酔を打って、本人は寝ている状態で胃カメラ検査をしてくれる病院もありますので、どうしても無理という方はそのような病院を探してみるのもよいでしょう。
逆流性食道炎に効果的な漢方は?
逆流性食道炎の症状を漢方で改善したい、という方のために、逆流性食道炎に効果的な漢方をいくつかご紹介したいと思います。
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
喉につかえなどの不快感がある、神経性胃炎などの症状を鎮める効果のある漢方薬です。
声が枯れる、吐き気などの症状にも作用し、逆流性食道炎の治療薬としても用いられています。
参考URL:https://www.tsumura.co.jp/products/ippan/040/index_s.shtml
六君子湯(りっくんしとう)
食欲不振、みぞおちのつかえ、胃痛、胃炎、嘔吐といった症状のある方に処方される漢方薬です。
体力が中等以上ある方への処方が適切です。
参考URL:https://www.tsumura.co.jp/products/ippan/047/index_50.shtml
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
吐き気、食欲低下、みぞおちのつかえ、悪心、胸やけ、ゲップといった症状のある方によい漢方薬です。
体力が中等以上ある方への処方が適切です。
参考URL:https://www.tsumura.co.jp/products/ippan/041/index_s.shtml
逆流性食道炎におすすめの市販薬は?
逆流性食道炎の症状がある場合は、病院でしっかりと検査を行った上で処方される薬を飲むのが最もよいですが、時間の都合がつかない中で少しでも不快な症状を治めたいという時に、逆流性食道炎の症状を市販薬で直したいという方もいらっしゃると思います。
そこでここでは、逆流性食道炎に効果的な市販薬をいくつかご紹介したいと思います。
ガスター10
胃酸の分泌を抑えることで、胸やけやむかつきなどの症状を改善してくれる薬です。
なお、薬の効果が現れるのが服用から30分後となっており、そこから8時間作用が持続すると言われています。
参考URL:https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/products/details/gaster/
ガストール
胃痛、胃もたれ、胸やけといった症状によく聞く市販薬です。
胃酸の分泌を抑えることで、胃を保護し、様々な不快症状を改善します。
参考URL:https://www.ssp.co.jp/gastol/gastol/product/
パンシロンキュア
胃酸の出過ぎによる胃痛や、胃酸の逆流による胸やけを抑える薬です。
また、弱った胃の働きを助ける健胃生薬チンピ末も配合されています。
参考URL:https://jp.rohto.com/pansiron/cure-a
逆流性食道炎はストレスが原因?症状と対策【漢方や市販薬】のまとめ
逆流性食道炎がひどくなると、夜寝ている時にも胸やけがしたり、酸っぱい胃酸が上がってきて不眠の原因なることがあります。
不眠は、生活の質を下げるだけではなく、心身の大きなストレスになることから、さらに病状が悪化することも考えられるため、逆流性食道炎かな?という症状が現れたら、なるべく早く対処して症状を改善するように心掛けましょう。