胃腸風邪の原因と治療の仕方!
嘔吐や下痢が続き、体も熱っぽい・・。
最近、寒くなってきたから体調でも崩したのかと病院へ行くと「胃腸風邪ですね」と診断され、風邪ならゆっくり休んでいればすぐによくなるだろうと一安心。
しかし、ちょっと待ってください。
風邪というものはそもそも「ウイルス感染による気道の炎症」を指すため、お腹にウイルスが付着した場合には風邪とは言いません。
従って、胃腸風邪という病名は本来なら存在しないはずなのです。
それでも、胃腸風邪と診断されたことのある方は多いはずです。
では、胃腸風邪とは一体なんなのでしょうか。
そこで今回は、胃腸風邪について調べてみました。
目次
胃腸風邪とは?原因は何?
胃腸風邪という名前は、風邪のように人に感染させる恐れのある胃腸炎症状を便宜上そう呼んでいるのに過ぎず、正式な病名ではありません。
胃腸風邪の正式な病名は「感染性胃腸炎」と言います。
感染性胃腸炎には細菌性胃腸炎とウイルス性胃腸炎があり、細菌性胃腸炎は主に夏、ウイルス性胃腸炎は主に冬に流行する傾向があります。
細菌性胃腸炎は黄色ブドウ球菌や腸炎ビブリオなどの細菌に感染した食べ物を摂取することで、嘔吐や下痢などの胃腸炎症状が現れる、いわゆる食中毒症状を指します。
一方のウイルス性胃腸炎は、ロタウイルスやノロウイルスなどに感染した患者の嘔吐物などから二次感染が広がるもので、嘔吐下痢症とも呼ばれます。
これらの2つを合わせて感染性胃腸炎と呼ぶのですが、胃腸風邪はインフルエンザの発生と同様に冬に患者数が増えることから、胃腸風邪=ウイルス性胃腸炎と認識されているようです。
胃腸風邪の症状は?
胃腸風邪は、ウイルス性胃腸炎と同じであるため、ウイルスによって症状が異なります。
ウイルス性胃腸炎の中でも患者数が多い「ノロウイルス」は、症状の現れ方は人によって違い、突然激しい嘔吐や下痢になる方もいれば、徐々に出てくる場合もあります。
また、下痢だけもしくは嘔吐だけという場合もあり、嘔吐や下痢に伴って発熱や関節痛、頭痛などの症状が現れることもあります。
一方の「ロタウイルス」の場合は、突然嘔吐と下痢が起こります。
特徴的なのは便の色で、ウイルスの影響で胆汁の働きが阻害されるため、米のとぎ汁のような白っぽい水様便が日に何度も出ます。その様子から白色便性下痢とも呼ばれるようです。
また、微熱を伴うことも多く、乳幼児に多い感染症です。
なお、ロタウイルスは乳幼児に多い感染性胃腸炎なのに対し、ノロウイルスは大人でも感染します。
胃腸風邪の潜伏期間はどれくらい?
胃腸風邪の潜伏期間は、1~2日と言われています。
また、ウイルス性胃腸炎はウイルスに感染している患者の嘔吐物や便から二次感染を起こすため、乳幼児が感染しやすいロタウイルスは幼稚園や保育園などの閉鎖された空間において、爆発的に感染者を増やす恐れがあります。
ノロウイルスの場合は、家族に患者いる場合は大人にも感染するため、気付かずに会社など外へ出てしまうと感染者を増やす危険性があります。
冬の時期に、いきなり下痢や嘔吐を伴う腹痛や発熱が起こった場合は、単純に「風邪だろう」と思わずに、ウイルス性胃腸炎を疑うことが、周囲への感染を防ぐ手立てとなります。
胃腸風邪で下痢になった時にはどう対処すればいいの?
胃腸風邪で下痢になった時、何より脱水症状に気を付けなければなりません。
脱水症状は、体内の水分量が大人であれば体重の60%、子供では80%以下になると起こると言われていますが、下痢で水分を失った場合に水やお茶を飲む方がいますが、実はこれは好ましくありません。
と言うのも、下痢によって体の外へ排出されるのは水分だけではなく、ナトリウムなどのミネラルも大量に失ってしまいます。
その時にミネラルを含まない水を飲んでしまうと、体内の塩分濃度が低くなってしまい、電解質異常が起きて内蔵の働きが低下してしまいます。
このようなケースを避けるためには、下痢をした時には経口補水液のような塩分と少量の糖分が補給できる飲み物がお勧めです。
なお、スポーツドリンクがよいという話もありますが、スポーツドリンクは糖分が多過ぎるため返って胃に負担を掛けてしまう場合があります。
特に小さいお子さんに飲ませる場合は注意しましょう。
また、一度に大量の水分を摂ると下痢を誘発してしまうので、10分おきくらいに少量ずつ飲むのがよいでしょう。
経口補水液がすぐ手に入らない時は味噌汁の上澄みを飲むのも効果があります。
胃腸風邪の対処の仕方や治療法!
胃腸風邪を早く治すには、胃腸風邪の原因であるウイルスを体の外へ排出することが一番です。
そのため、嘔吐や下痢の症状を無理に止めようとせずなるべく出すようにすることが大切です。
また、体力を回復させるために無理矢理でも食べた方がよいと考える方がいらっしゃいますが、胃腸に負担を掛けることで返って体力を奪うことになってしまうため、嘔吐や下痢がひどい場合は食事を摂る必要はありません。
水分をしっかりと補給しながら、ゆっくりと胃腸を休めましょう。
なお、風邪と同様にウイルスには特効薬がないため、治療は対処療法が中心となります。
だからと言って、病院へ行っても意味がないというわけではありません。
脱水症状がひどい時は点滴を行い、下痢や嘔吐が激しく、出すより止めた方がよいと医師が判断すれば薬も処方されます。
特に乳幼児や高齢者は体力が少なく重症化しやすいため、症状が重い場合は早めに病院へ行くようにしましょう。
胃腸風邪の時に効く食べ物は?
嘔吐や下痢の症状がある時は、無理に食べようとせず水分を補給するにとどめて、胃腸を休ませてあげましょう。
嘔吐や下痢の症状は通常2~3日で治まりますので、回復の兆しが見えてきたら胃腸に負担を掛けない食事を始めます。
その時によいのが、おかゆです。
おかゆは温かく消化がしやすいため、胃腸への負担を軽減してくれます。
そのまま食べてもよいですが、塩を少し振ると塩分の補給にもなるのでおすすめです。
おかゆが苦手という方は、うどんでもよいでしょう。うどんはつゆに塩分が含まれているため塩分補給も行えます。
なお、口当たりがよいことから豆腐を食べるという方もいらっしゃいますが、その場合は冷奴ではなく湯豆腐にしましょう。
冷たい食べ物は胃腸を刺激し下痢を招く恐れがあるのでおすすめできません。
胃腸風邪のまとめ
胃腸風邪は、単なる風邪の症状の一つというわけではなく、ウイルスに感染することで起こる胃腸炎ということがわかりました。
風邪、と聞くと安易に考えてしまう場合もありますが、周囲に感染させてしまう恐れがある胃腸炎ですので、胃腸風邪と診断されたら外出は避けるようにしましょう。
また、胃腸風邪と家族が診断された場合、嘔吐物などの処理は細心の注意を払って行うようにしましょう。