大人や子供の溶連菌感染症の症状と潜伏期間や治療の仕方!
喉が痛い、熱がある・・・。
このような症状が出た時、まず最初に疑う病気は「風邪」ではないでしょうか。
特に、気温が下がって空気が乾燥する冬の時期は、風邪の感染者も増えてきます。
しかし、実は同じような症状を引き起こす全く別の病気があるのです。
それが「溶連菌感染症」です。
溶連菌感染症はあまり聞き慣れない病名かもしれませんが、感染者は以外と多い病気です。
そこで今回は、溶連菌感染症について調べてみました。
溶連菌感染症の原因や感染経路、治療方法、予防についてご紹介していますので、是非一度ご覧頂けたらと思います。
目次
溶連菌感染症とは?
溶連菌感染症とは、正確には「溶血性連鎖球菌感染症」と言います。
2~15才の小児に多く発症し、感染力が高く保育園や幼稚園、小学校ではしばしば集団感染による学級閉鎖などを引き起こします。
また、現在のように抗生物質がなかった時代には、溶連菌感染症は「猩紅熱(しょうこうねつ)」と言われ、伝染病扱いを受けていました。
大人や子供の溶連菌感染症の症状の特徴は?発疹や痒みはあるの?
一般的に「子どもがなるもの」と思われている溶連菌感染症ですが、大人もなる病気です。
ただし、大人の場合は溶連菌に感染しても症状が全く出ない場合や、出ても症状が軽いこともあるため、自分が溶連菌に感染していると気付かないケースもあるようです。
それでは、溶連菌感染症の症状を具体的に見てみましょう。
一般的な溶連菌感染症の症状
溶連菌感染症の一般的な症状は、発熱(38~39度の高熱)や喉の痛みです。
風邪のようにも思えますが、鼻水やくしゃみなどの症状が出ることが稀なことから、風邪と区別する上でもこれらの症状があるかどうかを見極める必要があります。
子供の場合
子供の場合、手足や体にかゆみを伴う赤い発疹や、舌が赤く腫れブツブツが出るイチゴ舌などの症状が出る場合があります。
発疹は解熱後に皮が剥けることもあり、特にアトピー性皮膚炎のお子さんは症状が重くなることが多くあります。
大人の場合
大人の場合は、溶連菌に対する免疫がある方も多く、そのため感染しても無症状の場合もあるようです。
しかし、溶連菌は自然治癒しない病気と言われているため、治療をせずに放置をすると菌が増殖しリウマチ熱や急性糸球体腎炎などの合併症を引き起こす危険があります。
溶連菌感染症の原因は何?
溶連菌感染症の原因は、「溶血性連鎖球菌」と呼ばれる細菌です。
溶血性連鎖球菌は、その名の通り球菌が直列に繋がって増殖することから、鎖のような形をしているのが特徴です。
溶血性連鎖球菌には、α溶血とβ溶血у溶血の3種類があり、β溶血にはさらにA群やB群などの20種類に分類されますが、溶連菌感染症の約90%が、A群β溶血性連鎖球菌によるものと言われています。
溶連菌感染症の潜伏期間や感染経路は?
溶連菌感染症の感染経路は、感染者のつばやくしゃみなどの飛沫(しぶき)による飛沫感染か、溶連菌に触れた手を介して口から体内へ侵入する経口感染となっています。
感染力は、急性期(溶連菌感染症になり始め)の頃が最も強く、同居の兄弟間では50%、その親も20%の確率で感染が起こると言われています。
また、溶連菌感染症の潜伏期間は2~5日と言われており、感染したからといってすぐに症状が出るわけではないので、知らないうちに他人への感染させてしまうことも多くあります。
溶連菌感染症の治療方法
溶連菌感染症は細菌が原因のため、抗生物質が処方されます。
この他に熱が出ていれば解熱剤、喉の痛みがある場合は鎮痛剤が処方され、通常は薬を飲んで2~3日後には症状が落ち着き始めます。
ただし、症状が治まったからと言って自己判断で薬の服用を止めてしまうのはいけません。特に抗生物質は、症状がよくなったとしても医師に処方された分は必ず飲み切るようにして下さい。
と言うのも、見た目に症状が消えたように思えても、体内にはまだ溶連菌が残っている場合があります。
この時に抗生物質を飲むのを止めてしまうと、残った菌が再び増殖を始め、場合によってはこれまでの抗生物質の効かない菌に突然変異をすることがあるからです。
こうなると治療も長引きますし、合併症を引き起こすなどの重症化することもあるため、処方された抗生物質は必ず飲み切ることがとても大切です。
妊婦が溶連菌感染症になった場合の対処方法
妊娠中は母体の免疫力が下がりやすくなることから、あらゆる感染症への感染の確率は高くなってしまいます。
溶連菌感染症の場合も同じで、特に上に小さなのお子さんがいる場合は、幼稚園や学校から溶連菌に感染するリスクが高まります。
妊婦さんが溶連菌感染症になると、切迫早産や破水の原因となるばかりではなく、出産時に産道を通して赤ちゃんに感染して肺炎や髄膜炎などの合併症を引き起こす可能性があります。
このため、妊娠中に溶連菌感染症に感染した恐れがある場合は、ただちに掛かりつけの産婦人科を受診するようにして下さい。
妊婦さんには、膣内を洗浄し、抗生物質を膣内に入れる治療が行われます。
抗生物質は毎日一錠を使用し、通常一週間程度で溶連菌が除去されるそうです。
後は、できるだけ安静にして過ごし、体を少しでも回復させることが大切です。
子供が溶連菌感染症になった時、出席停止期間はどれくらい?
子供が溶連菌感染症に感染した場合は、学校保健法により出席停止の必要がありますが、抗生物質を服用する治療が開始されると、24時間後には他人に移す心配がなくなると言われていることから、病院を受診から1日様子を見て発熱や喉の痛みなどがなければ登校させても構わないようです。
また、溶連菌感染症は「とびひ」を起こすことがあり、とびひは出席停止の対象にはなっていないものの人に移しやすいことから、登校時には皮膚のただれや発疹がないか気を付けて見ることも大切です。
溶連菌感染症の予防方法は?
溶連菌感染症を予防するワクチン接種などはないため、外出先から帰宅した時は手洗いやうがいをしっかりと行う、免疫力を下げないように規則正しい生活習慣を身につけるなどが予防法となります。
また、溶連菌感染症はインフルエンザと同じ冬の時期に流行するので、人の多いところへ行く場合はマスクを着用し、家族に溶連菌感染者がいる場合はタオルの共用を避けるなどの対処も予防法となります。
溶連菌感染症のまとめ
溶連菌感染症は、風邪やインフルエンザに似た症状のため、人によっては病院を受診しないケースもありますが、長期化や再発によって合併症を引き起こす可能性があります。
風邪との区別がつきにくい一方で、いちご舌や発疹などの特徴的な症状もあることから、これから感染者の増える時期、是非この病名を覚えておいて少しでも類似する症状が現れたら、溶連菌感染症を疑って早めに病院を受診するようにして下さい。