百日咳の症状と検査や治療法!
風邪を引いた時、最後まで咳だけがなかなか抜けず困ったことはありませんか?
その風邪はもしかしたら「百日咳」だったのかも知れません。
発熱や倦怠感などの風邪の諸症状がなく、鼻水やくしゃみが出始めてやがて咳だけがしつこく残った場合には、それは風邪ではなく百日咳の可能性があります。
熱を伴わない長引く咳が二週間以上続いた大人の約2割が、風邪だと思っていた症状が実は百日咳だったという調査結果もあります。
百日咳と言うと、子供がなるもの・昔に流行った病気と思っている方もいらっしゃいますが、近年では2007年に大学で集団感染が発生したり、2008年2010年と大流行したりと、決して大人だから感染しない・昔の病気というわけではないのです。
そこで今回は、百日咳の症状や予防法などを調べてみました。
目次
百日咳とは?感染するの?
百日咳とは、百日咳菌が気道に付着することで、激しい咳発作を引き起こす呼吸器の感染症です。
昔は子供(特に乳幼児)に多い病気という認識があったのですが、近年は大人の発症率が高くなっており、2001年の調査では百日咳患者に占める成人の割合が3%未満だったのに対し、2010年では60%近くにまで増えています。
しかし、大人が百日咳に感染しても咳が長引く程度であまり重症化しないため、「風邪がなかなか治らないだけ」と思い込んでしまう方も多く病院を受診しないケースもあることから、実際の患者数は上記の数字よりも多いとみられています。
また百日咳は感染力が非常に強く、百日菌感染者がくしゃみや咳をした時に飛び散る飛沫や、感染者との接触で広がります。
このため、会社や学校などで集団感染しやすいのですが、用心しなければいけないのは子供への感染(特に乳幼児)です。
大人は重症化することは稀ですが、子供(特に乳幼児)が感染すると重い合併症で死亡するケースもあります。
赤ちゃんや子供の百日咳の症状
子供が百日咳菌に感染すると、通常一週間から10日程度の潜伏期間を経て、以下のような症状が現れます。
カタル期(1~2週間程度)
鼻水や咳など、いわゆる風邪のような症状が現れます。風邪薬を飲んでも症状が治まらず、次第に咳が強く出るようになってきます。なお、カタル期の初期段階が、百日咳菌の感染力が最も強いと言われています。
痙咳期(2~3週間)
この時期になると、発作的な咳が出始めます。コンコンコンと短く連続した咳が出た後、息を吸い込む時にヒューと音がするのが百日咳の特徴で、夜間は特にこれが繰り返して起こる傾向にあります。また、咳のしすぎで嘔吐をしたり、顔がむくんだり、目の充血や鼻血、内出血が起こることもあります。
回復期(2~3週間)
次第に咳が治まります。咳が出なくなるまでおおよそ3ヶ月ほど掛かることから百日咳と呼ばれています。
※新生児や生後一年未満の乳児が百日菌に感染すると、咳が出ない代わりに無呼吸やチアノーゼ(顔色や唇が青紫色になる状態)が見られます。そのため、痙攣や呼吸停止、脳炎などの合併症を引き起こすことがあります。
大人の百日咳の症状
大人が百日咳に感染しても、子供のように百日咳の特徴的な発作性の咳は出ません。
そのため、症状だけでは風邪との識別が困難だと言えます。
また、子供であれば百日咳に感染すると血液検査で白血球の増加が見られるのですが、大人の場合は白血球が増加せず血液検査をしてもわからないこともあります。
このようなことから、大人の場合は例え百日咳でないか?と疑いが出ても、咳以外の症状がないから放っておくという方もいらっしゃいます。
しかし、何より怖いのが子供への感染です。子供、特に乳児が感染すると重篤な症状を引き起こす可能性があります。
自宅に小さなお子さんがいらっしゃる方は勿論ですが、それ以外の方であっても感染を広めないという意識を持つことが非常に大切だと言えます。
咳が二週間以上続いている、周囲に似た症状の人がいる、咳が出始めるとなかなか止まらないなどの症状がある場合は、百日咳を疑って病院を受診しましょう。
百日咳で咳が止まらない時の対処法は?
百日咳に感染し、咳がなかなか止まらない時は、少量の水をこまめに飲むと痰の切れがよくなり効果があるようです。
また、咳が長く続くと体力が奪われ、他の病気にも感染しやすくなります。
そのため、十分な睡眠時間を確保することも大切です。
さらに、咳はちょっとした刺激を受けることで出やすくなってしまいます。
特に、冷たい風や乾燥、たばこの煙、ほこりなどは咳を誘発する原因となりますので、喫煙者であれば喫煙することは勿論ですが、自宅では空気の乾燥を防ぐために加湿器を使う、濡れたタオルや洗濯物を干すなどの対策も効果があります。
外出の時はマスクを着用することで、咳が出やすくなるのを抑えるだけではなく周囲の人への感染も防ぐことができます。
百日咳の治療方法や検査の仕方は?病院は何科に行けばいいの?
百日咳の治療では、抗生物質を使用します。
しかしながら、咳が続いて三週間程度が過ぎていると抗生物質が効かなくなってしまいますので、熱の伴わない咳が長く続くようでしたら早めに病院へ行きましょう。
また、咳がひどい場合は、鎮咳薬や去痰薬、気管支拡張薬などが処方されることもあります。
さらに、重症化した乳児の場合は、入院をして酸素の投与や人工呼吸器などを使用することもあります。
そして、百日咳の診察や検査についてですが、乳幼児の場合は百日咳特有の咳発作があるため診断やつきやすいのですが、加えて血液検査によって白血球の数値を調べることで確定されます。
なお、百日咳を疑って病院へ行く場合は、子供であれば小児科、大人なら内科か呼吸器科を受診しましょう。
百日咳の予防の仕方は?
百日咳の予防法として最重要視されるのは予防接種です。
百日咳は乳児が感染すると重症化しやすいことから、三種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風・百日咳)の接種が義務付けられています。
接種期間は生後3ヶ月から7才6ヶ月までに3回と、3回目の接種から1年~1年半以内に1回の追加接種を受けます。
この3種混合ワクチンは年齢が上がれば上がるほど副反応がでやすいため、なるべく早くに終わらせることも必要です。
また、普段からできる予防法として、手洗い、うがい、マスクが挙げられます。
百日咳は飛沫感染及び接触感染が感染経路なので、外出する際にはマスクを着用する、外出先から帰宅したら手洗い、うがいをすることで感染のリスクを下げることができます。
百日咳のまとめ
大人の場合、百日咳に感染しても咳以外の症状がでないことから、つい病院へ行くことを躊躇ってしまいがちですが、もし百日咳だった場合は菌を周囲に撒き散らしてしまうことになってしまいます。
百日咳は抗生物質での治療が早ければ早いほど、感染を防ぐことができるので、咳が長く続く場合は百日咳を疑った病院へ行くようにしましょう。