大人は要注意のおたふく風邪!
おたふく風邪は、特徴的な症状とその名前から知名度は高いものの、実はどのような病気かは詳しく知らないという方が多いと思います。
特に、おたふく風邪は子供がかかる病気、と思っているとしたらそれは大きな間違いです。
このような誤解は、病気の発見を遅らせるだけではなく症状が重症化したり、合併症を引き起こす原因にもなってしまいますから、今回を機会におたふく風邪の原因や、世間一般的に知られている以外の症状、おたふく風邪の潜伏期間について知って頂けたらと思います。
また、実際におたふく風邪になってしまった時、覚えておくべき対処法なども記載していますので、この記事がおたふく風邪から少しでも早く回復する手助けとなることを願っています。
目次
おたふく風邪とは?その原因や潜伏期間は?
おたふく風邪は、正式名称を「流行性耳下腺炎」と言い、ムンプスウイルスの感染が原因のウイルス性疾患です。
小児(2~12才)の感染が多いですが、大人への感染も見られます。
大人は子供に比べて症状が重くなりやすいので、特に注意が必要です。
感染経路は、ムンプスウイルスに感染した患者の唾液やくしゃみなどによる飛沫感染や接触感染で、感染後2~3週間の潜伏期間を経て発症しますが、感染者の3~4割程度の子供に症状が出ない場合もあります。
このため、お子さんがおたふく風邪だと気付かずに親が感染してしまい、なかなかおたふく風邪だと気付かないで放置してしまって重症化することもあります。
特に首や耳の下の腫れと発熱がある場合は、早めに病院を受診するようにしましょう。
おたふく風邪の症状は?
おたふく風邪は、耳の下にある耳下腺や顎下腺にムンプスウイルスが感染することで起こり、耳下腺や顎下腺が腫れ上がるのが大きな特徴と言えます。
この時、おたふくのように丸顔になることから「おたふく風邪」と呼ばれています。
とは言えこの腫れは、左右両側の耳の下に必ず起こるわけではなく片方のみの場合もあることから、片方だけが腫れた場合はおたふく風邪の診断が出るのが遅れるケースもあります。
また、おたふく風邪は感染後すぐに症状が現れるわけではなく、感染してから2~3週間の潜伏期間を経て発症します。
感染の初期症状として首の痛みや頭痛を訴える場合が多いようですが、この段階ではそれがおたふく風邪によるものとはなかなか気付けません。
違和感を感じているうちに咳や鼻水、38度を超える高熱が出始め、風邪かな?と思っていると発熱と同時に耳下腺や顎下腺が腫れてきます。
このようなことから、耳の下の腫れはおたふく風邪の特徴的な症状と言えますが、その症状は発症からかなり日数が経った状態であると言えるでしょう。
さらに、耳下腺や顎下腺が腫れると口を開けたり食事をするのが辛くなるので、食欲が落ちるのもおたふく風邪の症状の一つと言えます。
おたふく風邪は、感染したりうつったりするの?
おたふく風邪は、非常に感染力の強い疾患で、幼稚園や小学校などでは集団感染を引き起こすこともあります。
とは言え、最も感染力が強いのが症状の出ない潜伏期間であるため、鼻水や咳など「風邪かな?」と思っているうちに爆発的に感染者を増やしてしまい、感染を抑えることができないのが現状と言えます。
なお、耳下腺や顎下腺が腫れ、熱が出るなどのおたふく風邪特有の症状が出始めると、徐々に感染力は低くなりますが、おたふく風邪に感染した場合、幼稚園や小学校では登園・登校停止となります。
小学校の場合、発症から5日間が経過し、かつ全身の状態が良好な場合は登校が許可されますが、子供によっては耳下腺の腫れが長引くことがあるため、自己判断はせず病院の指示に従うようにして下さい。
また、大人が感染した場合も会社などは休んで感染を広げないようにするのがマナーです。
大人の場合は症状が重くなりやすく、10日~2週間程度休みが必要な場合もあります。
子供や赤ちゃんがおたふく風邪にかかった場合の対処法や治療法は?
おたふく風邪はウイルス性疾患のため、ウイルスを撃退する抗ウイルス薬がなく、治療は行えません。
そのため、基本的には安静に過ごしてウイルスが消滅するのを待つことになりますが、腫れによる痛みや熱が高い場合は解熱鎮痛剤や湿布などの対処療法を行うこともあります。
また、唾液腺である耳下腺や顎下腺が腫れたり痛むので、食欲が落ちてしまう子供が多いので、その場合はあまり噛まなくてもよいお粥や煮込みうどんなどを用意してあげるとよいでしょう。
痛みや腫れが強い時には無理に食事をさせる必要はありませんが、水分補給は欠かさず行うようにして下さい。
特に高熱がある場合は水分が失われやすいので、脱水症状を引き起こす危険があります。
その際、口を開けて飲むと痛みが出るので、ストローを使うとよいでしょう。
また、オレンジジュースなどの酸味のある飲み物は唾液腺を刺激するため、痛みが出やすくなってしまいますので注意して下さい。
大人がおたふく風邪にかかった場合の対処法や治療法は?
一般的におたふく風邪は、「子供がかかる病気」というイメージがありますが、実は大人も感染する病気です。
大人が感染すると子供よりも症状が重く出るケースが多く、高熱や耳下腺・顎下腺の痛みなどで夜も満足に寝られないこともあるようです。
中には、耳下腺や顎下腺が腫れ上がり窒息の恐れや、男性の場合は睾丸炎、女性の場合卵巣炎になることもあります。
睾丸炎や卵巣炎は不妊を引き起こす原因となるため、お子さんを望む方は特に注意が必要です。
大人のおたふく風邪は子供と同様に、ウイルスに効く特効薬がないため基本的に対処療法となります。
おたふく風邪の予防法!ワクチンは必要?
おたふく風邪を予防する唯一の方法は、予防接種となります。
しかし、おたふく風邪の予防接種は任意接種となっており、あえて予防接種を受けずに子供の時におたふく風邪に感染し抗体を得ていた方がよいと思う方や、おたふく風邪は感染してもそれほど症状が深刻ではないため予防接種を受ける必要はないと考える方もおり、人によって見解が分かれています。
一方で、予防接種を受けられる方というのは髄膜炎などの重症化を防ぐ目的が多く、万が一おたふく風邪に感染しても予防接種を受けていると軽く済む場合もあるようです。
このように予防接種については、様々な見方があるため、医師に相談し納得した上で受けるか受けないかを判断するようにしましょう。
おたふく風邪のまとめ
子供の時におたふく風邪にかかったことがなかった方が、お子さんが幼稚園や小学校などでおたふく風邪に感染し、その看病をしているうちに自分も感染してしまうというケースは非常に多いようです。
もし、お子さんがおたふく風邪の予防接種をする予定がある場合は、ご自身のことも病院で相談してみましょう。