食あたりは食事が原因?症状と対処法!
夏になるとニュースでよく耳にするようになる「食中毒」。
自分には関係ないことだと、甘く見てはいませんか?
例えば、食事をして数分から数時間経過後に激しい下痢や嘔吐に見舞われたことがないでしょうか。
それはもしかしたら食中毒だったのかも知れません。
症状は早ければ1日~数日で治まることから「もしかしたら食中毒ではなく、食あたりだったのかも・・」と思うかも知れませんが、そもそも食あたりと食中毒の違いってご存知でしょうか?
そこで今回は、食あたりについて調べてみました。
食中毒との以外な関わりも含めて、是非ご一読頂けたらと思います。
目次
食あたりの原因は?食事が関係しているの?
食あたりとは、暴飲暴食をしたり、細菌やウイルスなどの有毒な微生物や化学物質などを含んだ食べ物を摂取することで引き起こされる中毒症状・健康被害を言います。
食あたりを起こしやすい食べ物として考えられているのは、生鮮食品です。
中でも肉や魚、卵などを加熱処理せずに生で食べることにより食あたりになるリスクは高まります。
また、食あたりの原因として最も多いのが細菌感染によるもので、全体の70~90%を占めています。
食あたりを起こす細菌としてよく知られているのが、「腸管出血性大腸菌」のO-157。
牛などの家畜に棲みついている大腸菌で、十分な加熱調理がされていない肉を食べることで感染し発症します。
次に、人の皮膚や鼻の中などにも生息している「黄色ブドウ球菌」も食あたりの原因となります。
黄色ブドウ球菌は、ニキビや水虫などの発生原因となるものの、自然界に広く分布されており、通常はそれほど害をお呼びしません。
しかし、手や指に傷口や化膿がある状態で調理を行ったり調理前に手洗いをきちんと行っていないと、食べ物に触れることによって黄色ブドウ球菌が繁殖してしまいます。
菌そのものには毒性はないものの、繁殖の際に「エンテロトキシン」という毒素が発生するため、エンテロトキシンに汚染された食べ物を摂取することによって食あたりを発症してしまいます。
これらの細菌による食あたりは、主に夏にピークを迎えると言われており注意が必要ですが、一方で冬に患者が増えるのがウイルスによる食あたりです。
牡蠣などの貝類が主な原因と言われている「ノロウイルス」や生肉や魚介類から感染する「ロタウイルス」が有名です。
さらに、フグ毒などの自然毒やメタノールなどの化学物質が原因の食あたりなどがあります。
食あたりの症状は?下痢や発熱は伴うの?
食あたりの主な症状は、下痢、嘔吐、腹痛です。
しかし、食あたりの原因によって症状が異なるため、必ずしも上記の症状のみというわけではありません。
例えば、卵や肉類から感染する「サルモネラ菌」やo-157に代表される大腸菌に感染すると、発熱の症状が見られます。
また、缶詰や瓶詰、蜂蜜などから感染する「ボツリヌス菌」は、呼吸困難や、言葉が話しづらくなるなどの神経症状が現れます。
食あたりの時の5つの対処法
食あたりを起こしてしまった時、知っておくとよい対処法をご紹介します。
①吐けるだけ吐く
嘔吐は、体内に入り込んだ細菌やウイルスを排出しようとする働きです。このため、吐き気は我慢せず吐けるだけ吐くことが大切です。また、体を休める場合は仰向けには寝ずに横向きに寝ましょう。こうすることで万が一寝ている時に吐いても、吐いた物が気管に詰まることを避けることができます。特に小さなお子さんや高齢者には注意をして下さい。
②下痢止めは使わない
嘔吐と同様に下痢も、細菌やウイルスを排出する働きのため、下痢止めを飲んでしまうと体内に毒素がとどまってしまい症状が悪化してしまいます。
③水分補給をしっかり行いましょう
嘔吐や下痢によって、体内の水分が失われて脱水症状を引き起こす可能性があります。このため、吐き気があっても水分を摂ることが大切です。この時、冷たい飲み物は胃や腸を刺激するので、温かい飲み物がお勧めです。また、水分補給だからと水だけを飲むのは危険です。失われた水分には塩分などのミネラルも含まれているため、ミネラルも補給する必要があります。常温のスポーツドリンクや、野菜スープ・味噌汁などの上澄みを飲むのもよいと言われています。
④睡眠をとりましょう
吐いたり下痢をしたりというのは、とても体力が必要となります。いつ吐き気がきてもいいように、と寝ないで過ごす方もいらっしゃいますが、睡眠をとることで体の免疫機能が上がり、それだけ食あたりから回復する時間も早くなります。また、寝てしまうことで胃腸を休めることに繋がりますので、食あたりになった時は無理をせずしっかりと休みましょう。
⑤吐いた物を片付ける場合は二次感染を防ぎましょう
吐いた物を処理する時は、ゴム手袋などをして素手で触らないようにしましょう。また、拭いた後にはアルコールや塩素で消毒を行うことも忘れないようにしましょう。吐いた物には食あたりの原因となる細菌やウイルスが含まれているため、素手で触った後きちんと手洗いなどをしないで、調理をした場合、二次感染する可能性があります。
食あたりの治療法
水のような下痢が何度も出る、血の混じった便が出る、物が二重に見える、意識が朦朧としている、激しい腹部の痙攣があるなどの症状がある場合は、すみやかに病院へ行くようにしましょう。
特に、体力のない乳幼児や高齢者の場合は、自己判断せずに「食あたりかも」と思ったら早めに病院へ行くことが大切です。
また、フグやキノコなどの自然毒が原因と思われる場合も、すぐに病院へ行くようにして下さい。
病院ではまず、吐いた物や便から食あたりの原因の特定を行います。
脱水症状がひどい場合は点滴を行い、原因が特定されたら抗生物質の投与が開始されます。
食あたりと食中毒の違いは?
食中毒の中はあたるという意味なので、食あたりと食中毒はほぼ同じ意味だと考えてよいでしょう。
ただし、より正確に言うと、食中毒は医学用語ですが食あたりは医学用語ではありません。
食中毒は病院で診断されたら必ず保健所への届け出が必要ですが、食あたりの場合は保健所への届け出は必要ありません。
食あたりは、細菌やウイルスに原因が特定されない、いわゆる暴飲暴食でも起こることがあるためですが、病院で嘔吐や下痢の原因が特定された時点で、食あたりは食中毒となり保健所への届け出を行います。
食あたりの時は、病院は何科に行けばいいの?
食あたりかも・・と思い病院へ行く場合、何科を受診すればいいのか悩みますよね。
その場合は、内科、もしくは感染症科がよいでしょう。
患者がお子さんの場合は小児科でも構いません。
それでもよくわからないという方は、保健所に連絡をして病院を紹介してもらうとよいでしょう。
食あたりのまとめ
食あたり、と聞くと食中毒よりも症状が軽いイメージがありますが、暴飲暴食を除いて発症原因は同じだったのです。
高温多湿になり食べ物が傷みやすい夏は勿論ですが、秋には旬を迎えるキノコの自然毒、冬にはノロやロタなどのウイルス感染にも十分注意をしましょう。